花粉症・花粉皮膚炎の症状
花粉が飛散する時期になると、鼻水やくしゃみ、目の痒みなどのアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎(花粉症)の症状に加えて、顔の肌が敏感になり、まぶた、ほほ、あごから首にかけての部分に痒みと赤みが見られることがあります(花粉皮膚炎)。多くの方では、鼻水やくしゃみなどの一般的な花粉症の症状と同時に出るのですが、稀に皮膚症状だけが現れる方もいます。
花粉皮膚炎はもともとアトピー性皮膚炎の素因があったり、乾燥肌の方に起こることが多く、合わない化粧品を使ったり、鼻や目がかゆくて掻いたり、鼻をかみすぎたり、マスクがすれたりすることが悪化因子になることがあります。
花粉症の方は以前に比べると増えてきており、前の年までは大丈夫だった方やお子様でも症状が出ることがあります。
また花粉症の方の中には、まれに口腔アレルギー症候群と言って、果物などに対するアレルギー反応を起こす方がいて、特定の食べ物を食べると口の中がイガイガしたり唇が腫れたりすることがあります。花粉と果物のアレルギーのもとになる構造が似ているために起こります。
シラカバやハンノキの花粉症の方ではバラ科のリンゴ、モモ、サクランボなどの果物、ブタクサの花粉症の方ではウリ科のメロンやスイカなどで症状が出ることがあります。
花粉カレンダー
日本で主な花粉が飛散する時期は以下の通りです。
アレルギー性鼻炎ガイド2016年版より
花粉症・花粉皮膚炎の検査
どんな花粉に対してアレルギー反応が出ているのか分からない方には、アレルギー採血検査を行って調べることもできます。(当院では小学校低学年以下のお子様の採血検査は行っておりません。ご希望の方は小児科などでご相談ください。)
一度に多くの項目を調べられる検査としてはView39とMast36の検査があり、以下の項目を調べることができます。
View39
吸入系抗原 | 食餌系抗原 | ||
---|---|---|---|
ヤケヒョウヒダニ | かもがや | 卵白 | カニ |
ハウスダスト1 | おおあわがえり | オポムコイド | キウイ |
ネコ皮屑 | ぶたくさ | ミルク | リンゴ |
イヌ皮屑 | よもぎ | 小麦 | バナナ |
ゴキブリ | アルテルナリア | 大豆 | 鶏肉 |
ガ | アスペルギルス | そば | 牛肉 |
すぎ | カンジダ | ピーナッツ | 豚肉 |
ヒノキ | マラセチア(属) | 米 | まぐろ |
はんのき(属) | ラテックス | ごま | さけ |
しらかんば(属) | エビ | サバ |
MAST36
イネ科植物花粉 | オオアワガエリ、カモガヤ | |
---|---|---|
雑草花粉 | ブタクサ混合物1、ヨモギ | |
樹木花粉 | スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ | |
室内塵、ダニ | コナヒョウダニ、ハウスダスト1 | |
真菌類(カビ) | カンジダ、アルテルナリア、アスペルギルス | |
動物上皮 | ネコ皮屑、イヌ皮屑 | |
食餌系 | 小麦、大豆、米、マグロ、サケ、エビ、カニ、ミルク、牛肉、豚肉、鶏肉、 卵白、オボムコイド、ソバ、ピーナッツ、ゴマ、キウイ、バナナ、モモ、トマト |
|
その他 | ラテックス |
花粉症・花粉皮膚炎の治療
花粉症の治療としては、花粉を避けるセルフケアとともに抗アレルギー薬の内服が基本となります。
昔からある抗アレルギー薬の中には眠気を催すものや、自覚のないまま集中力や判断力がおちるもの(インペアードパフォーマンス)がありましたが、最近の抗アレルギー薬の中には眠気が少ないものが増えてきています。
市販の花粉症用の内服薬よりも眠気が出にくいものがありますので、受験生やドライバーの方も受診時にご相談ください。
抗アレルギー薬は多くの種類があるため、ライフスタイルや症状に合わせて処方薬を調整します。
また症状に応じて眠気のでない漢方薬の併用や、目のかゆみ充血、鼻水鼻づまりのひどい方には点眼薬や点鼻薬の処方もしております。
花粉皮膚炎の治療では、悪化因子を取り除きながら、抗アレルギー薬の内服と保湿をベースにしていきます。軽症の方ではこれだけでも症状が改善することもあります。それでも痒かったり、湿疹が消えなかったりする場合は、保湿に加えて弱めのステロイドを塗り、炎症を抑えていきます。
春の花粉症のシーズンは乾燥する時期でもあり、再発を繰り返さないようにすることも大切です。
セルフケア法としては、とにかく花粉をできるだけ浴びないようにすることが大切です。外出時には、メガネやマスク、帽子などを着用し、帰宅したらすぐに洗顔やシャワーで皮膚に付着した花粉を落としてください。
また洗顔の時や鼻をかむときにこすりすぎないように気を付けてください。
スギ花粉症の舌下免疫療法
採血でスギ花粉が陽性の花粉症の方には、舌下免疫療法も行っております。スギ花粉エキスを舌の下に含ませて、体がスギ花粉に慣れていくことで、アレルギー反応をおこしにくくしていく治療法です。毎日の服用を最低2年程度継続する必要があります。
スギ花粉症の舌下免疫療法は、スギ花粉が飛散している時期に開始することはできません。新規に開始するのは6月から12月の間となりますのでご注意ください。
初めて舌下免疫療法を行う時は、ごくまれに激しいアレルギー反応が起こることがあるために、院内で服用し経過観察が必要になります。初回服用時は閉院時間間際ではなく、余裕をもって受診していただく必要がありますので事前にご連絡ください。