色が気になる皮膚疾患について
赤ら顔(酒さ・酒さ様皮膚炎)
気になる顔の赤みはご相談ください
酒さとは、鼻を中心とした顔の部分にほてりや赤みがあり、毛細血管が拡張して赤く透けて見えたり、赤いぽつぽつした発疹が続いたりする状態のことです。疾患名に「酒」という文字が入っていますが、アルコールが原因というわけではありません。
小さいころに、寒い外からあたたかい部屋に入った時に、顔が赤くなったりほてったりした素因を持っている方に生じることもあります。
明確な原因はわかっておらず、アトピー性皮膚炎や大人のニキビ、脂漏性皮膚炎などと似ているため判断がつきにくく、正しく診断されないケースも少なくないようです。
慢性的に続くことが多く、温度差や直射日光、運動や花粉症などのアレルギーで悪化することもあり、市販薬やニキビの治療薬などでは治りにくいことも多いため、悩んでいる方も多いです。
酒さの症状としては顔の赤み、ぽつぽつとした赤い発疹、ピリピリとした刺激のほか、重症になると鼻がみかん状に肥大したり、眼の痛みなどを伴ったりすることもあります。
また、酒さ様皮膚炎は顔面にステロイド外用薬などを長期間外用することで、毛細血管拡張や赤いブツブツとした発疹が生じたものです。
酒さ・酒さ様皮膚炎の治療
症状に応じて、抗生物質や漢方薬の内服、ロゼックスゲルや硫黄製剤の外用薬などでコントロールしていきますが、治癒するまでには時間がかかることもあり根気強く続けていくことが必要です。
また酒さ様皮膚炎では顔面のステロイド薬の外用を中止していきますが、ステロイドを外用する原因になった疾患に対しても対策を考えていく必要があります。
かぶれが原因と考えられる時は、パッチテストなどをして原因を考え、治療していきます。
パッチテストとは、原因と思われる物質をテープで背中や腕に48時間貼りつけて反応を見る検査です。貼ってから48時間後、72時間後と1週間後に観察して診断します。毛染め剤の成分であるパラフェニレンジアミンや、香料の成分のパッチテストなどを施行して原因を探していきます。
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また、紫外線、アルコール、カフェインや香辛料など刺激の強い食べ物、ストレス、極端な高・低温、花粉症などのアレルギーは悪化要因として知られています。
光治療(ライムライト)、ロングパルスNd:YAGレーザーの中空照射(ジェネシス)や血管治療(クールグライド)、シルファームXを用いると改善が見られることもあります(保険外治療)。
シミ
肝斑
白斑
根気強く治療していきます
皮膚の色は、表皮の中に含まれるメラニン顆粒の量に応じて変化します。このメラニン顆粒は表皮の一番底にあるメラノサイトという細胞でつくられます。このメラノサイトが何らかの理由で機能が低下すると、メラニンの産生が極度に低下あるいは消失し、皮膚の色が部分的に白く抜けてしまいます。この状態が尋常性白斑という疾患で、別名「しろなまず」とも呼ばれます。拡大が進むと白く抜けた範囲の方が多くなることもあります。
日本における尋常性白斑の患者数は人口の1~2%程度と言われます。20代の発症が多いとされますが、各年代に広く見受けられます。
またご高齢の方の腕などで、色がポツポツと小さな円状に白く抜ける白斑もあり、こちらは老人性白斑と呼ばれます。
脱色素性母斑や子どもの はたけ など、よく似た皮膚疾患がありますので、白斑なのかどうかをしっかり診断することが、治療の第一歩です。
白斑の原因
尋常性白斑の原因は、はっきりとは解明されていませんが、自己免疫(自分自身の組織に対して免疫が攻撃的に作用すること)によりメラノサイトやメラニンが破壊されるために発症すると考えられています。
また老人性白斑の原因はメラノサイトの老化現象と言われています。
白斑の治療
ステロイド薬、ビタミンD3、免疫抑制外用薬(タクロリムス)の外用療法、紫外線療法、外科的治療法などがあります。当院では外用療法に加えて、UVB(中波長)のごく狭い周波数の紫外線だけを照射するエキシマライト ターゲット型光線療法やナローバンドUVBを繰り返して照射する治療を行っております。いずれにしても根気強く治療を繰り返していくことが大切です。
太田母斑
異所性蒙古斑
癜風
真菌(カビ)の一種であるマラセチア(癜風菌)による皮膚の感染症です。
もともと皮膚の表面に常在している菌ですが、様々な要因によって増殖し発症します。若い人の発症が多く、汗をかきやすい春から夏にかけてよく見られます。
胸や背中、首を中心に、淡い褐色または白色のシミが広がりますが、痒みは伴わないことが多いです。
発疹の部分をこすって採取した検体を顕微鏡で観察すると、菌の胞子や菌糸が認められます。
癜風の治療
治療は抗真菌薬の外用を行い、多くは2週間くらいで治っていきます。
マラセチアは皮膚の常在菌であるため、再発率の高いのが特徴です。汗をこまめに拭き、肌を清潔に保つと同時に、毎年繰り返す方は、抗真菌剤入りのボディーソープなどを使って予防するといいでしょう。
緑色爪(グリーンネイル)
爪の一部が緑色に変色することがあり、緑色爪(グリーンネイル)と呼ばれます。緑膿菌という細菌が爪の下に侵入し繁殖して起こります。白癬菌やカンジタなどの真菌(カビ)との合併例もあります。緑膿菌は腸の中に生息している菌の一種で、通常は害を及ぼすことはありません。職業柄水仕事が多く手が湿った状態が続く方などでは、細菌が繁殖しやすい環境になるため、緑色爪が起こりやすくなります。
最近ではジェルネイルと自分の爪の間の隙間に発症することが増えています。ネイルをしている間に進行し、ネイルを取った時に自分の爪が緑色になっているのに気付き、驚いて受診される方もいます。緑色爪の治療では、患部をしっかり乾燥させ、必要に応じて抗菌薬の外用が行われます。緑色爪が悪化すると、爪全体が深緑色になったり、爪が剥がれてしまったりすることもありますので、緑色爪に気づいたらお早めに皮膚科でご相談ください。